歯の健康は、年齢を重ねるごとにますます重要な課題となります。特に「根面う蝕」という歯の根元にできるむし歯は、高齢者に多く見られ、その進行が非常に早いことで知られています。歯茎が下がることで象牙質が露出し、酸に弱いこの部分がむし歯になるリスクが高まるのです。この根面う蝕は進行が速く、放置すれば歯を失うことにもつながります。そこで、この記事では根面う蝕の予防法について解説します。
根面う蝕が発生する最大の理由は、歯茎の退縮です。歯茎が下がると、本来なら歯茎に守られている象牙質が露出します。象牙質は、酸に対する耐性が非常に弱いため、口内のpHが酸性に傾くとすぐに溶けてしまいます。エナメル質に比べて象牙質は非常に軟らかく、むし歯が進行しやすい部分でもあります。特に40代を過ぎると歯茎が下がりやすくなるため、根面う蝕のリスクが一気に高まります。
根面う蝕を予防するために、日々の口腔ケアが欠かせません。まず、フッ素配合の歯磨き剤を使用することが効果的です。フッ素には再石灰化を促進する効果があり、歯の表面を修復してむし歯の進行を抑えることができます。また、歯科医院での定期的なフッ素塗布も、むし歯の予防に非常に効果的です。
歯茎の健康を保つためには、歯ブラシ選びも重要です。硬いブラシを使うと歯茎を傷つけ、退縮を加速させてしまう可能性があるため、柔らかめの歯ブラシを選び、優しく磨くことが大切です。歯茎をマッサージするように磨くことで、血流を促し、歯茎を健康に保つことができます。また、歯と歯の間の汚れをしっかり除去するために、デンタルフロスや歯間ブラシを使用することも根面う蝕の予防に効果的です。
生活習慣も根面う蝕の予防において重要なポイントです。特に間食が多いと、口内が常に酸性になりやすくなります。砂糖を多く含む飲み物やお菓子を頻繁に摂取する習慣があると、口内の酸性度が高まり、象牙質が溶けやすくなるのです。間食を控え、規則正しい食事を心がけることが、むし歯予防の大きなカギとなります。
もう一つ注意すべき習慣は喫煙です。喫煙は歯茎の血流を悪化させ、歯茎が下がりやすくなります。これにより、歯の根元が露出し、根面う蝕のリスクが高まります。禁煙をすることで、歯茎の健康を取り戻し、むし歯や歯周病のリスクを下げることができます。
根面う蝕は進行が早いため、定期的な歯科検診での早期発見が重要です。歯科医は、歯茎の状態や初期のむし歯をチェックし、早期に対応してくれます。特に40代以上の方は、歯茎が下がりやすいため、早めの予防と治療が必要です。
根面う蝕は進行が早く、高齢者にとって特にリスクの高いむし歯です。しかし、日々のケアと生活習慣の改善を行うことで、予防は十分に可能です。進行する前に適切な対策を講じることで、長く健康な歯を維持することができるのです。今からでも、日々のケアを見直し、歯の健康を守るための行動を始めましょう。